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山口(A01)グループの研究成果「芳香環開環型フッ素化反応の開発」がプレスリリースされました

芳香環にフッ素を導入しながら変形する
有機フッ素化合物の新規合成法の開発に成功

発表のポイント

  • 芳香環にフッ素を導入しながらその環を開き、変形する反応の開発に成功。
  • 様々な窒素を含む芳香環から第三級フッ素化合物の合成を実現。
  • 医農薬、材料科学の分野で活躍する有機フッ素化合物の新規合成法を提供。

早稲田大学理工学術院の山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう)教授らの研究グループは、芳香環 (※1)にフッ素原子を導入しながら環を開き、変形する「芳香環開環型フッ素化反応」の開発に成功しました。

有機化合物にフッ素原子を導入すると、化学的・物理学的にも大きく性質を変化させることができることから、その導入法が盛んに研究されています。例えば、有機化合物に数多ある芳香環(芳香族化合物)にフッ素を導入する方法は様々です。しかし、芳香環の水素や置換基をフッ素に置き換えるものが多く、芳香環自体の形を変えるようなフッ素導入反応はほとんど知られていませんでした。もし、芳香環をフッ素導入と同時に変形することができれば、より多様な有機フッ素化合物を創出することができます。

今回の研究では、窒素を含む芳香環にフッ素化剤を作用させることで、フッ素を導入しながら、芳香環の結合(窒素―窒素結合)を切断し、有機フッ素化合物を合成することに成功しました。得られる有機フッ素化合物は元の構造からは全く異なる第三級フッ素化合物(※2)であり新形式の反応です。

今回の研究により、医薬品などを含む40種類以上の化合物を様々な第三級フッ素化合物に変換できました。また、芳香族化合物を原料とした、新たな有機フッ素化合物の合成法を提供することとなります。本研究成果は、複雑化合物の合成終盤での適用も可能であり、創薬化学研究における新規医薬品候補化合物の合成などへの応用が期待できます。

本研究成果は、英国王立化学会誌『Chemical Science』のオンライン版に2021年12月21日(現地時間)に掲載されました。

論文名:Ring-Opening Fluorination of Bicyclic Azaarenes (二環式アザアレーンの開環型フッ素化反応)

詳細はこちら。早稲田大学研究トピックス

なお本件Chem-Stationの協力によりスポットライトリサーチにも掲載される予定です。

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