大阪大学 久田悠靖 (星本 (A01) グループ)
場所 中華人民共和国、天津
目的 The 14th International Conference on Heteroatom Chemistryへのポスター発表での参加。他参観者の発表の聴講。
内容 7月14日:会場まで移動、会場での参加証配布。
7月15日:開会式。午前、午後と他学会参加者の講演を聴講。夕方から2時間自身のポスター発表。その後北京郊外の観光ツアー。
7月16日:終日他学会参加者の講演を聴講。夕方からバンケット形式の食事会。
7月17日:午後4時まで他学会参加者の講演を聴講。閉会式。
7月18日:自宅まで移動。
所感 1日目のポスター発表では先生方や学生に研究を見ていただいた。トロント大学のDouglas Stephan教授や南開大学の周其林 (Qi-Lin Zhou) 教授など論文で名前を見たことがある著名な先生をLet me explain my research.と半ば強引に自身のポスター前まで連れていくことに成功した。しかし、英語の発声速度の遅さからか、高度な質問を引き出せるまで会話のラリーを続けるには至れなかった。一方、中国の学生とは英語の習熟度が近いから説明が不十分な部分や今後発展させたいことなど、時間をかけて議論をすることができた。
自身の研究において、論文を引用させていただいたLutz Greb先生とは触媒評価パラメータの計算方法について議論を行うことができた。特に利用した計算パッケージにおいて分子の構造最適化に時間がかかる点について「根気強く初期構造を変えるのが良い。」という具体的なアドバイスをいただいた。
拝聴した講演の中では、Carborane骨格を含む触媒による水素ガスを用いた触媒的還元反応が特に印象的であり、触媒設計について会場で質問を行った。
全体を通して中国のPh.D.学生と積極的に会話することに注力した。会話の中で特に印象的だったことは全員が研究を通して自身の名前を目立たせる方法を模索していることだ。Ph.D.取得後、化学産業に就職したい学生は学生の間に目立った成果を残さなくては職を得られないという不安を純粋な化学への興味以上に研究の推進力としていた。化学反応や触媒にキャッチーな名前をつけ自身と共に売り込みたいという意識を一貫して感じた。また、中国の学生も中国の化学者の数の多さをプレッシャーに感じており、「中国」という勝ち馬に乗った研究者としておごることなく、自身の名前を目立たせるためにはむしろ中国という名前は邪魔であるという考えを持った学生もいた。単純に化学の勉強に多くの時間を割いている学生がとてつもない数いることに驚かされた。